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退院前、少しだが喋れるようになり、固形の食べ物も食べれるようになっためぐみの前に、聡は弁護士を連れて部屋にやってきた。
「お姉さんの件でご相談にきました。」
姉の、姫川の暴行、殺人未遂についてだった。
被害届をだそうと聡は言ってきた。
「何も心配する事は無いよ。めぐみは被害者なんだ。あの女にも、両親にも罪を償わさせよう。」
昔からよく知る聡だからこそ、今回の件は徹底的に戦う姿勢なのだろう。
しかし、めぐみは首を横に振った。
「もう・・私と関わらないようにしてくれたら、いい。」
「そんな。あれだけの事をしたのに、それでいいのか?」
「姉さんに・・・治療を受けて、もらって。心の。」
「家族の接近禁止、お姉さんの精神的治療を条件に、示談という形をとってみましょう。それで、いいんですね?」
こくん
その承諾に賛成したのは、沙樹しかいなかった。
めぐみがしないのなら、私が懲らしめてやる!と息巻く忍を抑えながら、頑なに示談を譲らないめぐみの気持ち。
エキサイトする見舞い人は、看護婦の険しい表情で部屋から追い出された。
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