st.9 過去からの解放

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部屋に残された沙樹とめぐみは、無言で向き合っていた。 少し疲れたような表情のめぐみは、目を閉じ、ため息をついた。 「少し、寝る?」 「うん・・・。沙樹さんは、反対しないの?」 もぞっと少し横になりながら、聞いた。 沙樹は手を握りながら、微笑みかけた。 「めぐみちゃんが決めた事なら、ね。」 「・・・ありがとう・・。」 「でも、私にとって生涯許せない人よ。」 めぐみは少し目を細め、ゆっくりと頷いた。 そして、ペンをとりサラサラと文字をかき出した。 ~血の繋がりは、切りたくても切れない。高校の時、戸籍表をみてあの人達から産まれた本当の子だと知った時、悪い夢だと思った。私は養子だと思ってたから~ はあぁぁ めぐみは涙を堪えるように、大きく息を吸った。少し手も震え、字が歪む。 ~優しかった時の姉さんの記憶が無ければ良かったのに~ 転んで泣いた時に駆け寄ってくれた姉さん おやつを半分こしてくれた姉さん 手を繋いで眠ってくれた姉さん 美人で勉強も出来た姉さんは、幼いながら自慢の姉だった。 ~私が小学校4年の時に、姉さんの友達に悪戯されそうになって・・。その日から変わってしまった~
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