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部屋に残された沙樹とめぐみは、無言で向き合っていた。
少し疲れたような表情のめぐみは、目を閉じ、ため息をついた。
「少し、寝る?」
「うん・・・。沙樹さんは、反対しないの?」
もぞっと少し横になりながら、聞いた。
沙樹は手を握りながら、微笑みかけた。
「めぐみちゃんが決めた事なら、ね。」
「・・・ありがとう・・。」
「でも、私にとって生涯許せない人よ。」
めぐみは少し目を細め、ゆっくりと頷いた。
そして、ペンをとりサラサラと文字をかき出した。
~血の繋がりは、切りたくても切れない。高校の時、戸籍表をみてあの人達から産まれた本当の子だと知った時、悪い夢だと思った。私は養子だと思ってたから~
はあぁぁ
めぐみは涙を堪えるように、大きく息を吸った。少し手も震え、字が歪む。
~優しかった時の姉さんの記憶が無ければ良かったのに~
転んで泣いた時に駆け寄ってくれた姉さん
おやつを半分こしてくれた姉さん
手を繋いで眠ってくれた姉さん
美人で勉強も出来た姉さんは、幼いながら自慢の姉だった。
~私が小学校4年の時に、姉さんの友達に悪戯されそうになって・・。その日から変わってしまった~
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