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そしてそこにある学校は、魔導というものが無い世界で一番早くそれらを受け入れ、対応し、ティアナ=ハーケンベルグが留学先に選んだ学校でもある。
その学校が魔闘祭に参加を表明したということは、少なくともティアナ=ハーケンベルグ以外に六人は参加出来るだけの力を持っている人間が居るということに他ならない。
魔飽祭だったあの日、僕らの友人は最後にアトラスの森へと向かった。
その後、同日中に不可解な光柱の調査の一環として、騎士団が同じ場所へ向かったが、人は居らず、代わりに大きな血溜まりの上に、銀色の刃の欠片と酷く糜爛した黒い刀の柄のようなもの、二つの髪留めに国営病院の病衣が落ちていたらしい。
そこで何があったのかは不明だが、兎に角遺体は一つも見付かっていない。
けれど、髪留めと病衣はノスリ=アビエスという今年度から高等部一年になっていた筈の少女の物で、彼女はその日以降失踪しており、その家柄から彼女と交流の多かったルイス=エバインによれば望みは薄いらしい。出生が特殊な彼女は元々先が長くは無く、それを踏まえた上での結論だそうだ。
そして、刃の欠片と柄はツカサ君の契約武器。これは実物を見た僕ら全員が口を揃えてそう言ったのだから間違ってはいない筈だ。
その事から、僕らとルイス=エバインが導き出した答えは、ツカサ君の身に何らかの事が起こり、そこへ向かっていたノスリ=アビエスが先の短い自分の代わりにツカサ君を救ったのではないか、というものだ。
そんなツカサ君は決して強いと呼べる部類では無かったけれど、使えた魔法は多かった為、使い方次第では格上の相手であっても結果がかなり変わってくる筈だ。それに彼方の世界の住人の中で曲がりなりにも此方で魔法を学んだ彼なら、彼方の世界では貴重な戦力に成り得ても可笑しくはない。
要は、確信が欲しい。ツカサ君が無事であるということの。
もう、これ以上誰かを失うのは嫌なんだ。
等間隔に扉の並ぶ長く広い廊下を歩くと、カーペットの張られた床が柔らかく足を押し返す。
学年が上がってここ――学院の寮で暮らすようになってから結構経つけれど、未だ何処か旅行先の宿泊施設に泊まっているような居心地の悪さが、違和感が、心の端に居座っている。
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