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「うん」
「すばるの星が俺を、いのりがいるこの町まで連れてきてくれたんだ」
クスクス――と、いのりが肩を震わせて笑っている。
「……信じてない?」
「ううん。だって、なっち大きくなって帰ってきてくれたんだもん。すばるの星なら、きっとできるって。こんな奇跡、信じたいもん」
俺はいのりと一緒に肩を震わせて笑う。
「いのり、俺、いのりが好きだ。あの時は言えなかったけど、本当はずっと好きだった」
「うん。私も――なっちのこと、大好きだよ」
これからもずっと。夢なら覚めないでほしいと、この時ばかりは、幼い時に無くしてしまった永遠を二人して望んだ。
小星が寄り添って輝くすばるの星のように、最後までずっと離さないで。
「……また、きっと会いに来る」
一瞬の輝きは俺たちにとっての永遠の輝き。「さよなら」の言葉の代わりにそう、すばるの星に誓って、静かに雪降る夜は明けていった……――。
* * *
ツン……と冬の匂いが立ち込める夜の空がひっくり返る。
一斉に瞬いたすばるの星の輝きに連れられて、高いところに飛び立った。
* * *
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