11/14
前へ
/15ページ
次へ
  「うん」 「すばるの星が俺を、いのりがいるこの町まで連れてきてくれたんだ」  クスクス――と、いのりが肩を震わせて笑っている。 「……信じてない?」 「ううん。だって、なっち大きくなって帰ってきてくれたんだもん。すばるの星なら、きっとできるって。こんな奇跡、信じたいもん」  俺はいのりと一緒に肩を震わせて笑う。 「いのり、俺、いのりが好きだ。あの時は言えなかったけど、本当はずっと好きだった」 「うん。私も――なっちのこと、大好きだよ」  これからもずっと。夢なら覚めないでほしいと、この時ばかりは、幼い時に無くしてしまった永遠を二人して望んだ。  小星が寄り添って輝くすばるの星のように、最後までずっと離さないで。 「……また、きっと会いに来る」  一瞬の輝きは俺たちにとっての永遠の輝き。「さよなら」の言葉の代わりにそう、すばるの星に誓って、静かに雪降る夜は明けていった……――。 * * *  ツン……と冬の匂いが立ち込める夜の空がひっくり返る。  一斉に瞬いたすばるの星の輝きに連れられて、高いところに飛び立った。 * * *  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加