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… …クーン… クーン
クーン… クーン。
ん、な… クーン …ジ… ジュエル?
… …クーン …クーン… 。
あぁ、なんだよ… もぅ…ッ!
襖1枚を隔てた向こうで、飼いはじめてから7年にもなる愛犬の"jewel"が、物欲しそうな声で、ずっと喉を鳴らしている。
… はぁ。
これはきっと、俺がその声に気がついて起き上がるまで永遠に続くな?
《 バサ 》
そう思った俺は、胸元まで掛けていた掛け布団を斜向かいに追いやると、半身起こして頭を掻いた。
なんとも目覚めの悪い、不機嫌な寝起きだ。
「 … たく、今何時だよ?」
僕は、枕元近くにあるコンセントから、充電器を延ばして繋げているスマートフォンを手に取ると、画面を軽くタップした。
《 トントン 》
… !?
『 5 : 14 』
マジかよ …
俺は、普段。
一階のリビングの隣に位置する和室で寝ている。
とは言え。
それも、週の半分くらいなもので、残り半分はリビングのソファで、そのまま晩酌に酔いつぶれて寝てしまっているのだけるど …
様は、余程に体たらくな日々を送っている。
「 たく、ジュエルの奴 …なんだってんだよ?」
障子紙からうっすらと光が滲む。俺の気分とは裏腹に、どうやら今日は快晴にでもなるようだ。
はぁ …
俺は、半身起きたその状態で、一度、頭をバサバサと乱暴に掻き毟ると、未だ覚めやらぬ意識を何とか起こし、のっそりと立ち上がった。
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