ep.6 keep on

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俺、斉藤了はAB型で、恋人の橘隆はO型だ。 別に血液型でどうこういうつもりはないが、 O型というのは、鈍感で大ざっぱで、こうも整理整頓できないのかと。 別学部の心理学部の先生が血液と性格は無関係だと耳が痛いくらい言ってたので、 血液型=性格という公式は成り立たないと思う。 この手の話になると、B型はよく矢面に立たされるが、AB型もなかなか辛い状況に立たされる。 二重人格だの、胸の内を見せない秘密主義だの。 確かに俺は、猫を被るのは上手い方だし、 秘密といえば、特大のものはあるが、 別に誰にも迷惑をかけているわけでもない。 特に後者に関しては、みんなわかってると思うが、 同性愛者ってだけで白い目で見られる光景を見てきた俺にとっては、 夜に出会う奴ら以外には、一生ノンケを貫くしかないと思っている。 秘密というのは時に、人を狂わせると思う。 自分が慕っている人の秘密なら尚更、それが恋人になると余計に知りたくなる。 どんな相手であれ、俺のものになった以上は、俺に隠し事は許さない。 「りょ…さ……」 聞いてやらない。 「もっ………は…あ…」 まだイクなよ。 「……ぁ……っ…」 隆、何回目だよ、ったく。 これは20分後の夜の光景。 俺は今日、もしかしたら隆を、少しだけ壊してしまうかもしれない。 「痛いよ、りょうさん。ベットで食べるの?いつも嫌がるのに。 ちょっと!りょうさん!聞こえてるの?」 俺は無言で、動作は必要に、できるだけ乱暴に、隆の腕をベットに強引に隆を倒した俺は、とりあえず何か縛るものを探した。 これは拷問でも、縛り上げて監禁しようとしてるわけでもない。 ただ、答えを聞こうとしているのである。 そうだった、俺ネクタイしてたんだった。 家庭教師やっててよかった、スーツなんて普段着ないしな。 そういえばこのネクタイ、隆に貰ったんだったな。 普段ネクタイなんてしないのに、高そうなブランドのやつ買ってきてたっけ。 これって、本当に俺用だよな? もしかして一緒に買いに行ったとかいう冗談ないよな? 俺はそんな思いを巡らせながら、光沢のあるネクタイを両手に強く引っ張りながら隆に近づく。 「やめ…て…おね…」 これから彼にする俺の行為を肯定してくれとは言わない。 でも、気持ちだけは察してほしい。 これは、ある一人の男が同性の恋人に向ける嫉妬による愛の行為なのである。 さあ、俺劇場の始まりだ。
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