紅葉狩り

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「吊り橋、行こうか。」 荷物を背負って、私の手を握り直す藤木。 そして、私に微笑みかけて小首を傾げた。 それ、本当に可愛いんだよね。 思わず、藤木の真似をして私も小首を傾げてみた。 キャラではないけど、やってみたくなったんだべ。 にこっと笑って歩き出したべ。 今のにこっと笑った顔も可愛かった。 藤木は可愛いのに、紳士だ。 石と石の間を跨ぐときに、さりげなくこっちを見てるし、石が段になってるところを上がるときも、腕を引っ張るようにしてアシストしてくれてる。 そんなことしてくれなくても、私だってちゃんと大丈夫なのに、そこを助けてくれるところに紳士な姿勢を感じるべ。 これは、育ちの良さなのだろうか。 施された教育か、はたまた過去にお付き合いしていた女性達から、学んだのか。 過去に嫉妬しても仕方ない。 私だって、藤木に襲い掛かるときとか、何も知らないわけじゃないから色々とテクニックを使ってるのかもしれねーべ。 手つきとか舌使いとか・・・それは藤木もか。 絶倫だし・・・。 いかんいかん、真昼間の大自然の美しさ溢れる香嵐渓で煩悩まみれな思考なんていかんいかん。 「はい、ここ気を付けてね。」 少し高い段になってる場所だ。 河原に降りるときも、手を貸してくれた場所。 藤木の手に引っ張られるようにしてその段を登った。 川の横の道に出たところで一度止まって、私を見て笑う藤木。 「何?何で笑うの?」 「ん?今日は走って逃げていかないみたいだなって思っただけ。いつも、僕が追いかける人だからね。」 楽しそうにそう言って、私の手を引っ張るように歩き出した。 ギュッと手を握られていたら、先に走って行くこともできないじゃん。 もっとも、こんなに人の多いところで走ったりしない。 叫ぶくらいは迷惑にならないかもしれないけど、走ったら迷惑だべ。
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