居酒屋 名古屋

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富田絵里 28歳。 大砲を打ちこまれて、ドキドキしまくりだべ。 え、え、絵里ちゃん。 はははっ。 ひとまず、シャワー浴びてワキをしっかり洗ってワキ休みだ。 階段を降りてトイレでお小水なルーティンワークを済ませたら居間に顔を出して・・・。 って、父と母の視線が刺さる。 何だべ? 「おはようございます?」 「絵里、ここに来なさい。」 ウホッ。 何だ、何だ、何だ? 父は何を言いたいんだ? 今月の生活費ならちゃんと払ってるべ。 いつもと違った雰囲気にドキドキしつつも、いつもの定位置に座ったら、ついていたテレビまで消されて真面目モード。 「彼氏がいたのか?」 「はっ?いないよ。」 「昨日の男の子は誰なの?」 誰なのって多分藤木。 「藤木です。」 「名前は知ってるわよっ!!!酔っ払ってふらふらのあんたを部屋まで運んでくれたんだからっ。」 ウホッ。 ま、ま、ま、まさか、藤木は私の部屋を見たってか!? やばいべっ? 私の部屋のドアに貼ってあんべ? 『注意一秒 ワキガ一生 対策したか?』 半紙にお習字で書いたべ? ってか、アレを見たうえで一緒に飲みに行こうって言ってくれたってか。 惚れる。 男としてとかどうでもいいべ、人として惚れた。 こんなヤツなのに、お詫びしたいって言った私の言葉にのってくれたべ。 一生、友達でいいから藤木について行こう。 そして、藤木の性癖が何であれ、どんな人が好きであれ、応援しよう。 決めたべ。 「絵里ってば、聞いてるの?」 あっ、しまった聞いてなかった。 「申し訳ございませんがもう一度おっしゃって頂けますか?」 「だから、彼氏じゃないの?」 「違います。」 私だって、藤木が彼氏だったら嬉しいさ。 だけど、藤木は・・・多分、ちょっと特別なんだべ。 だから、女の子の中で一番って言ってもらえるポジションになりたいべ。 ずっと一緒にいられるべ、そしたらさ。 「素敵な子だと思ったのに、残念。ねぇ、お父さん。」 父に話しかける母の様子と父の顔を見つつ。 色恋沙汰に狂っていた頃は心配していたのに、二十代も後半になると相手がいないことに心配とは、親も大変ですねと他人事のように思った。
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