居酒屋 名古屋

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金曜日を指折り数えて毎日を過ごすのは土日が休みの社会人としての常識だけれども、いつもとは違った意味での期待感が大きかった。 イッシーに言うか言うまいかと迷ったけれども、藤木と二人でっていうこの密やかで甘美な感じをイッシーに分けるのはもったいない気がして隠しておくことにした。 定時前から時計をチラ見して、定時丁度に立ち上がる小鳥遊さんと山田さんと同時に立ち上がった。 いつもと違う様子に一瞬、こっちを見た二人。 三人で顔を見合わせニヤリと笑ってご挨拶だべ。 「「「お先に失礼します。」」」 私は更衣室に向かうけれども、途中まで小鳥遊さんと山田さんと一緒だった。 「デート?」 ニコニコしながら小鳥遊さんに聞かれて苦笑した。 「デートじゃないですけど、男性と飲みに行きます。」 「そっか、楽しんできてね。」 「いいなー。俺も嫁さんと二人だけで飲みに行きてぇ。富田さん、遊べるうちに遊んどいた方が絶対にいいよっ!!!」 嫁さんと二人だけで飲みに行きてぇって言えるのが幸せですよと思ったけれども、先人の教えには従っておくのが正しい社会人。 「はい、楽しんできます。」 別れ際にバイバイと手を振る小鳥遊さんが可愛らしくて、私も手を振って別れた。
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