居酒屋 名古屋

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濃い目の味噌ダレが美味い。 串揚げの味噌ダレは最高だ。 肉は小さく、衣は大きく、そして味噌ダレと衣の絡み具合。 イッシーでなくとも言いたくなる。 「まいう~。」 私を見て笑った藤木も 「まいう~。」 と顔を綻ばせた。 そして、私はドキドキした。 同じことを言って、同じ物を食べて笑っただけなのに、この胸の疼きは危険だべ。 だって、藤木は親に勘当されて元彼女さんにフラれてしまうほどの秘密を抱えているんだべ? 殿方が好きなのかもしれない。 一番好きなのは殿方。 二番目は誰でもいいけど・・・みたいな感じかもしれない。 二番じゃダメなんですかって国会議員さんが昔、言ってたな、事業仕訳で。 ダメだろう。 突っ込んだのは私だけか? どうせやるなら一番だろう。 ナンバーワンを目指せないならオンリーワンを。 グラスに手を伸ばしてビールをごくり。 ビールが美味いと感じることは、正直あまりないけれども今日のビールは美味い。 キンキンに冷えてるからとか、そういうことじゃねーべ。 きっと、温いビールだったとしても美味いと感じるんだべ。 「おでんは半分子しようか。」 そう言いながら、タマゴをお箸で半分に割って食べてる。 味が染みてそうだ。 タマゴにも箸を伸ばす。 美味いに決まってる。 程よくアルコールも入ったところで、日曜日の醜態について再度謝罪をした。 そして、父と母が失礼なことを言わなかったかも確認。 「はははっ。目をキラキラさせて彼氏ですか?って聞かれたよ。」 ドキドキした。 その笑顔は何ですかね、藤木さん。 ごくりと生唾を飲み込んだ音が耳に響いて、意識し過ぎだろって自分に突っ込んだ。 もちろん、脳内で。 「仲良くさせてもらってます。これからも仲良くさせてもらいますって答えておいたよ?」 さらりとした感じで、本当にさらっさらな感じで、言ったね。 危うく、左から右へ、右から左へと通過させそうになった。 危うく普通電車さえも通過していく知多半島の某駅みたいな感じになるところだった。 いや、あの駅、もうなくなったんだっけか。 ドキドキし過ぎて頭の中がおかしいべ。 鉄ちゃんじゃないのに。
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