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「あっ・・・幾久しくよろしくお願いします・・・。」
言ってみたら、藤木が笑った。
はにかむように笑った。
今のって、どういう意味だべ?
仲良くさせてもらってます。
これからも仲良くさせてもらいます。
藤木は、どういう意味で言ったんだ?
頭の中がクラッシュでショートだな。
深いことは考えなくていいや。
うん。
なるようになれ。
ならないなら、そのままで。
とにかく、藤木とはこれからも仲良くしていけるんだべ。
女の子の中で一番になれるかもしれねーし・・・。
飲んで食べて話して。
思った。
藤木といるのは楽しい。
短くなってしまって普通になってしまった藤木の髪型を見た。
普通に、素敵男子だよなぁ・・・。
そんな素敵男子と一緒にいられて嬉しいという思いよりも、前の頭の藤木といる方が自分とマッチしてたんじゃないかと思う微妙な気持ち。
もっと、自分に自信が持てれたらと思うのは、平凡な見た目で平凡な仕事につき、さらにワッキーだから総合評価が平凡以下だと自分で自分を思うからだべ。
「ベス、箸が止まってる。もうお腹いっぱい?」
「けっこう食べたから腹も膨れたって。残りは男の仕事です。食べてケロ。」
ふっと笑った藤木がご機嫌に
「分かったケロ。」
と答えた。
そんな返事をする素敵な一流企業勤務のサラリーマンの隣で一緒にご飯を食べてて、その上、仲良くさせてもらっていいんだべか?
いや、いいんだよなぁ。
グラスに残った少々のビールを飲み干したら、最初に飲んだときは美味しかったはずなのに、ほろ苦い大人の味がした。
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