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お手洗いの個室に籠って、用を足して流したら。
バッグの中のジップロックに入れたタオルを取り出す。
そして、シャツの中にタオルを入れてワキ汗をきっちりと拭う。
それから、強烈な異臭を放つタオルをジップロックに密閉。
これでタオルの臭いは大丈夫。
次は、デオドラントシート。
これで、キレイにキレイにキレイに臭いを絶つ。
さらに、クリーム状の制汗剤を塗り塗り。
・・・シャツに若干ワッキーの移り香が・・・。
いや、これはワッキーじゃない。
天然のフレグランスだ。
ゴミとなったデオドラントシートを個室から出てゴミ箱にポイして、手をキレイに洗ったら、ハンカチで手を拭いて。
パウダールームに移って化粧直し。
テカテカテカリーン。
脂ギッシュにテカった顔を人前で脂取り紙でお手入れすることはできても、ワキ汗を人前で拭くことはできない。
ワキ汗対策は密事だ。
一通りの身だしなみを整えて、もう一度金時計前に戻ったらイッシーを発見した。
昨日も会って、さんざん笑ったけれども今日もきっとたくさん笑うことだろう。
「イッシー!」
「ベス、どこ行ってた?仕事が遅かった?」
「お手洗い。イロイロね。」
私の言葉にニヤリと笑ったイッシーにはイロイロの中身が何かすぐにピンと来たらしい。
「今日もワキ汗パットをポロリ、期待してるよ。」
イヒヒっと下品な笑いを口元に浮かべたイッシーに先制パンチ。
「今日はワキ汗パットしてない。さすがに初対面でポロリは恥ずかしいでしょ。ほら。今日はこっち。」
バッグからちょろっとジップロック in ワキ汗タオルを見せたら、ブハっと盛大に笑った。
「今日の悪臭レベルは星いくつだった?」
「あ~星三つくらいかな。嗅ぐ?」
イッシーはワッキーの臭いを気にしながらも、自分よりも私のワッキーの方が臭いが強いことに優越感を抱いてるおかしなヤツだ。
どっちみち、私の方が臭いが強烈なだけでイッシーだって臭うのに。
同じ穴のムジナというやつだ。
「嗅ぐ。」
またイヒヒと下品な笑みを口元に浮かべて、私からジップロックを奪うとそうっとその口を開け、鼻元にもっていき、臭いを嗅いだ。
「ぐっ・・・。」
そうっとジップロックの口を閉めて、深呼吸をしだす酷い親友を見て、笑った。
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