大衆食堂 山本

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先週の金曜日に 居酒屋 名古屋 で藤木と飲み食いして少々酔っ払いつつも千鳥足の真似なんてくだらないことをしながら笑って帰った、帰りの電車の中で。 「来週は普通にご飯にでも行かない?ベス、どういうところが好き?」 ドキンとしながら、そのご飯の誘いにのるべく 「定食が食べられるようなところかな。味噌カツ定食とかエビフライ定食とかさ。」 そう言ったら、ふわっと笑ったんだった。 「分かった。サラリーマン御用達の店に案内するよ。」 「本当か?いいねぇ、いいねぇ。サラリーマン御用達のお店っていいねぇ。」 「今日の店もそんな感じだったけどね。」 私が連れて行った 居酒屋 名古屋 みたいな雰囲気の店か。 ますます心が弾むべ。 そんなやり取りをしたんだった。 そして、今日の待ち合わせ場所は金時計。 定時前から気持ちはそわそわ。 先週と同様に小鳥遊さんと山田さんが定時丁度に立ち上がるのと同時に立ち上がった。 そして、先週同様に3人揃って 「「「お先に失礼します」」」 と挨拶をして並んで歩き出した。 「富田さん、今日もデート?」 これは山田さん。 「デート・・・かどうかは分かりませんが、ご飯を食べに行きます。」 藤木との関係は、何だろう。 デートと言っていい関係だろうか。 「先週と同じ人?」 小鳥遊さんに聞かれて 「そうです。」 と答えたら、小鳥遊さんが楽しそうに笑った。 「何回も同じ人とご飯を食べるってことは、お互いに好意があるよね。」 それは、間違いない。 私は藤木に好意を持ってる。 男性として・・・というところには蓋をして、人として大好きだと思う。いや、思いたい。 「トミーから告っちゃえばぁ?」 山田さんが茶化してくるし、トミーは微妙だ。 でも、会社でベスだったらもっと微妙だ。 「いや、それはどうでしょうかねぇ。まだ知り合ったばっかりだし。」 「大人の恋愛は、出会ってから付き合うまでが短いのがセオリーって感じだけど、出会ってから付き合うまでにお互いに気持ちを温めて、気持ちが抑えられなくなって溢れだして告白っていうのもいいかもしれないね。」 「小鳥遊、お前、ポエマーかよ。」 小鳥遊さんの言葉にちょっぴり感動しそうだったのに、山田さんのポエマー発言でなんか脱力した。 ポエマー小鳥遊。 参考にさせていただきます。 溢れだすまで、気持ちを温める。 小鳥遊さん、素敵ですよ。
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