大衆食堂 山本

4/11
前へ
/539ページ
次へ
駅裏の地下街へと続く階段を降りる。 ここへはあまり来たことがない。 駅裏のアニメイトへと行ったとしても、ここへは来ないなぁ。 普通の地下街なんだけど、物珍しいからキョロキョロしてしまう。 「そうそう。あそこの一番奥のお店。出張帰りにチームリーダーに連れて来てもらったことがあってさ。」 なんか、仕事をしてるサラリーマンみたいだ。 出張帰りにチームリーダーに連れて来てもらうって。 恰好良く聞こえる。 いや、気持ちが走りだしたら、何をしていても恰好良く見えるし聞こえるのは過去の恋愛で経験済みだべ。 そして、毎回、恋は盲目って言葉の意味するところを忘れてしまって痛いことになるんだべ。 「出張があるんだね。私の会社では、出張ってほとんど聞かないから仕事ができるサラリーマンって感じがする。」 「あっ、そうなんだ。そんな凄いことはしてないよ。今度出張に行ったらお土産買ってくるね。」 ふわっと笑ったし、普通にお土産って言葉が嬉しいし、ウズウズするってば。 「いやいや、そんな気遣いはいらないってば。」 「いいじゃん。お土産渡すのにまた会えるし、ご飯も行こうよ。」 ウホッ。 今、キューピッドが私のハートに矢を打ちこんだべ。 藤木は男版の小悪魔かもしれねーべ。 笑う藤木に胸キュン&膝カックンだ。 やばいやばい、よろけたらおかしいべ。 アタフタと頭と心が躍り出していたら、目の前に目的のお店が。 そして、藤木が引き戸をガラガラっと開けた。 ウホッ。 ザ・定食屋な雰囲気。 いいべ。 ものすごくいいべ。 演歌が流れてるし、野球中継も地味にやってるし、小太り夫婦が商ってる感じも最高だべ。 そのとき、私の目に飛び込んできた衝撃の光景!!!
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3465人が本棚に入れています
本棚に追加