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藤木がお好み焼きの裏面の色を確認した後、ひょいっとひっくり返した。
手慣れてる。
「奉行、こっちもお願いしまっす。」
焼きそばを食べる箸を休めずに、藤木にお願いしたら私の方のお好み焼きも慣れた手つきでひっくり返してくれた。
「高いよ?」
ひっくり返した後になって、意地悪い顔をして言ってくる姿になぜだかドキドキした。
「どれくらい高い?」
「んー、ベスのワキの臭いを嗅がせろって言うぐらいかな。」
「ぶはっ、臭すぎて嗅がせられないし、お金積まれても嫌だな。確かに高いな、それ。」
藤木の言葉に笑いが込み上げてきた。
酔っ払いめ。
そんなの、イッシーにしか嗅がせられない。
あれは仲間内じゃないと無理だべ。
二人しかいなくても、酔っ払って盛り上がれるっていいべ。
最高だべ。
やっぱり、藤木の存在は貴重だべ。
そろそろいいかなと言いながら自分のお好み焼きにタレを塗りだした藤木の様子を眺めていたら
「僕が全部やってあげるよ。そしたら、ワキの臭い、嗅がせてくれる?」
「そんなちっせー労働力で嗅がせられるほど安くないって、ワキの臭いってのは。酔っ払い。」
ヘラヘラっと笑ってやったら、笑いながら私のお好み焼きにもタレを塗り、マヨネーズをトッピングし、これでもかってくらいに青のりをふりかけ、仕上げにかつお節を散らした。
美味しそうだべ。
かりんスペシャルだけど、藤木スペシャルな出来上がりだ。
かつお節が躍ってる様子が胃を刺激してくるべ。
「切ってあげようか?」
「さすがお奉行様であらせられる。ははー。」
両手をテーブルについてお願いしたら藤木が笑った声が聞こえた。
アルコールは、最初に藤木が注文した生中しか飲んでないってのに、二人ともいい気分だ。
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