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あつあつのお好み焼きをふぅふぅして頬張った。
美味いべ。
家とは違う、当たり前だけど、さすが外食。
「まいう~。」
言い忘れるところだったべ。
「まいう~。」
顔を綻ばせて、藤木も言った。
バカバカし過ぎて愛しい時間と空間だ。
グルメリポーターごっこまでやりだしてしまった。
「このお好み焼きとトッピングの数々はお好み焼き界の遊園地や~。」
と、私が言えば藤木が笑い、
「突撃、ベスの晩御飯!!!」
と言いながら、大コテ(と言う名前らしいお好み焼き用のフライ返し)をしゃもじを持つように持って笑う。
バカバカし過ぎて愛しい時間が過ぎていった。
たらふく食べて、美味しく飲んで、たくさん笑ってふと我に返ったら藤木も真面目な顔をする。
箸を置いて、すっかり温くなってしまったお冷を口に運び、喉を潤し、口の中をニュートラルな状態に戻した。
「今度さ、デートしよっか。いい時期だし、紅葉狩りに行こうよ。」
デートのお誘い。
ご飯を食べる間柄からのステップアップですか!?
「いいね。楽しみにしてる。」
だらしなくにやけそうになる頬を普通の状態にすることは無理なようで、きっとにやけてる。
藤木も同じように嬉しそうな顔をしたから、それでいいことにしよう。
紅葉狩りデートの約束と、そのうちお好み焼きの約束も。
嬉しい約束ばかりが増えていく幸せを感じつつ、こんなにも幸せで大丈夫かと心配になったりする気持ち。
頭と心がグチャグチャな思考に支配される前に帰ろうということになった。
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