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金時計に集合したのは藤木とお好み焼きを食べに行った翌日。
朝、イッシーからメールが来たからだ。
『夕方、金時計集合。』
毎晩、予定のない私は指定された金時計前でイッシーの到着を待った。
すると、すぐにイッシーがやってきた。
本人が気にするからあまり言わないようにしてるけれども、待ち合わせには便利だ。
目立つからさ、大きくて。
「おっつー♪」
やたらご機嫌光線を振り撒くイッシーに合わせて
「おっつー♪」
と返したものの、ちょっと自分がキモイと思った。
そして、二人の足は暗黙の了解でスタバへ向かう。
夏場はエレベーターの中で自分が臭ってるんじゃないかと思うけれども、寒くなっていく季節に臭ってるのはエレベーターの中ではなく、自分のコートの中だ。
蒸れるワキから放出される臭いは、上着の下で充満するべ。
上着を脱いだ瞬間にもわっと臭う気がするから、ワキが蒸れてたら要注意。
ワッキーの常識だべ。
相変わらず、キャラメルマキアートを頼むイッシーとホットのカフェラテを頼む私。
空いてる席を見つけて二人で対峙。
わざわざ呼び出してまで振り撒きたいご機嫌な理由って何だべ。
いや、多分、予想は違ってねーと思うんだけど・・・。
一口、カフェラテを飲んで、単刀直入に切り出してみた。
「イッシー、ヤッただろ?」
気持ち小声で聞いたつもりだけど、私の発したちょっとお下品な言葉を咎めることもなく、口元にやらしい笑みを浮かべて顔全体がゆるゆると崩壊したのを見て、やっぱりなと思った。
別に聞かなくてもいいことだけれども、やっぱり聞いてやるのがマナーかなと思って次の質問へ。
「で、どうだった?」
神妙な顔をしたイッシーが手で顔をこっちへよこせと合図をしてくる。
おいおい、ここで話せれないような濃密で卑猥なことを言うつもりじゃないだろうなと訝しく思ったけれども、好奇心に勝てるわけもなくイッシーの方に身を乗りだした。
「筆下し、してやった。」
ウホッ!!!!!
ま、ま、ま、まさか。
ウホッ!!!!!
そ、そ、そんな。
いやいやいやいや、でも、山根だし。
きっと、さっきのイッシーの顔に負けず劣らず、今の自分の顔はやらしい顔をしてるに違いない。
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