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「「お先に失礼します」」
小鳥遊さんと山田さんが定時丁度に立ち上がったのを見て、もうそんな時間かと机の上を片付けだしたら
「トミー、今日は帰らないの?」
ニヤッと笑って山田さんに言われた。
トミーはやめてくれと思ったけれども、わざわざ波風を立てるようなことでもない。
「そんなに毎週毎週食べ歩いてませんよ。」
「ふーん、お疲れ。」
手を軽く上げて、先に歩きだしていた小鳥遊さんの後ろを追いかける山田さんを見送った。
水曜日にお好み焼きを食べに行ったし、昨日はイッシーとガールズトークしたし、大人しく帰るべ。
浮足立つ人達の気持ちが伝わってくるような気がする金曜の夕方。
私だって、解放感に包まれてるべ。
いつものように改札を・・・と思ったら、一昨日の夕方のように藤木が改札近くに立っていた。
「よっ、お疲れ。」
目の前に立つ前から、私に気が付いていた藤木が笑って私に声をかける。
「お疲れ。誰かと待ち合わせ?」
「偶然と必然だったら、これも必然?待ってた人はすぐに来た。」
そう言って、私を指差した。
「電話、すればいいのに。」
「そうだけど、そういうのを使わずに会うのがいいでしょ。会えなかったら、今日は縁がなかったんだなって感じ。会えたら、やっぱり会える運命だったんだなって感じでさ。」
イッシーと私の会話ならアリだけど、この会話の相手が藤木だということが意外だ。
男の人も運命とか言うんだな。
発見だべ。
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