頑張れ 藤木

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目的地に到着して、この前と同じように北口からロータリーへ。 青色のCX5が藤木の車だ。 恰好良い車だべ。 車には詳しくないから知らなかったけれども、SUVと言われる種類らしい。 スーパーウルトラヴィクトリーかと思ったら、スポーツ・ユーティリティ・ビークルの略だそうだ。 学がないから、意味不明だったべ。 スポーツ用多目的車と日本語にするらしいが、学がないからそれでも意味不明だべ。 目的の車がすでにロータリーの向こう側に停まっていることを発見して、ドキドキした。 お泊りな予定・・・だべ? 車を見ただけでドキドキするこの気持ちは確実に恋だべ。 まだ、何も始まってないというか、始まったばかりというか、とにかく今日、何かが変わることだけは確かだ。 藤木の性癖はアリなのかナシなのか。 ダメだ、お好み焼きを食べた後とかって言ってたけど、絶対にダメだ。さっさと聞かないと、心がもたない。 さくっと聞いてしまおう。 藤木の車まで歩いて行きながら、藤木にカミングアウトさせようと心に決めた。 お好み焼きはその後でもいいべ。 運転席に藤木がいることを確認して、助手席のドアを開けた。 「ちわーっす、三河屋でーす。」 重苦しい雰囲気がダメだからとりあえず、おふざけをかましてみたら 「あら、サブちゃん。ちょうどいいところに。」 藤木も女の声色でおふざけに付き合ってくれて、一緒に笑った。 この関係が壊れるのは惜しいけれども、藤木も覚悟を決めたらしいし・・・。 助手席に乗り込んで、シートベルトを締めながら、私の気持ちを伝えた。 「お好み焼きを食べた後とは言わずに、教えてもらえませんかね?気になってお好み焼きどころではございませんが。」 動き出した車。 アンジーの店に行ったときとは違う道を走ってる。 藤木の家に向かうのではないのだろうか。 「ベスの言う通りかもね。僕も気が気じゃないし、先に言っちゃおうか。ちょっと待っててね、車を停めれる場所までドライブするから。」 ちょっとがどれくらいかもわからないまま、助手席から見える景色を眺めつづけた。
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