頑張れ 藤木

10/16
前へ
/539ページ
次へ
藤木の自宅はふっるい長屋の一番端。 自宅前の駐車場に車を停めて、ガラガラと扉を開けた。 へー、屋根がついてる軒下のこの扉は外の扉で中に空間が広がってる。 ここには自転車とかが置けるってことだべ? 家の中に置いたら邪魔だけど処分するのは忍びないものが置けるってことだべ? 雨露をしのげるし・・・。 土間ってやつだべか? で、本物の玄関があると。 藤木が鍵を挿して玄関を開けた。 「一応、掃除はしたけど汚かったらごめんね。」 「いやいや、汚くても平気だよ。」 ワッキーの臭いの方が平気じゃねーべ。 開けられた玄関の中にお邪魔した。 狭い玄関。 これが長屋か。 目の前に階段。 そして、玄関の横はいきなり台所。 台所のすりガラスを開けたら多分居間だべ。 「昭和の香りが漂ってるね。」 「ふっ、いいね、その表現。前はここをテラハウスって言ってたし。」 案内されるがままに居間に入ったら、目の前にコタツを発見。 ウホッ。 いいべ、いいべ。 テンションがあがったべ。 「今日、お好み焼きを食べたら、ここでダラダラしてそのまま眠るってのはアリ、ナシ?」 早速、勝手にコタツ布団をめくってコタツに座った。 「アリだな。」 「あっ、でもそれだと、藤木のことを襲えないか。」 「ふっ、なんでベスが僕を襲うのが前提?僕がベスを襲うんじゃないの?」 「う~ん・・・想像できない。」 藤木も私と直角にコタツに座って足を伸ばした。 コタツの中で足と足がぶつかって、お互いの足をツンツンと触り合う。 いいべ。 「ベス、止めて、くすぐったい。」 「止めてと言われて止めたら男じゃないって。」 「いや、ベスは女の子でしょ。」 「あっ、そうだった。」 くすくすと笑いながら、楽しく会話が続く時間が愛しいべ。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3465人が本棚に入れています
本棚に追加