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藤木がお好み焼きをひっくり返す様子を見ながら、いいなぁと思う。
こんな風に男の人に料理をしてもらったことなんてあったっけ。
いんや、ない。
藤木の部屋で昔の男のことを考えるってひでー女だべ。
そう思って頭を振ったら笑われた。
「何やってんの?」
うん、確かに何やってんのって感じだな。
「いやぁ・・・藤木みたいな人と仲良くできて幸せですなぁと浸っていただけでごわす。」
ごそごそと目の前にあった缶チューハイの蓋をプシュッとやって、誤魔化すように一口飲んだ。
クワっと喉と顔が一瞬で熱くなるアルコールの威力は偉大だべ。
しかも、気分が良くなって饒舌になっても全部アルコールのせいにできるんだから。
「そういうことをさらっと言うエリーはずるいでごわす。」
ずるいでごわすって何だべ。
可愛いべ。
「藤木の」
方がと続けようとしたら、藤木の手が私の口の前に伸びてきて続きを言うのを止めたら、
「コージーって言うってさっき言ってなかったっけ?」
と笑われた。
ついでに、藤木の人差し指が私の上唇をゆっくりとなぞって、離れていった・・・。
赤い実がはじけるべ。
はじけたべ。
ドキドキさせられた。
こっちを見ながらクスクス笑う藤木の余裕そうな顔が私の対抗意識に火を点けた。
口の中にアルコールというエネルギーをたっぷりと含んで、直角の位置に座る藤木の元に立ち上がって移動。
こっちを向いて驚いた顔をしてる藤木の横に屈んで唇を両手で上下に開いた後のエネルギー放射!!!
「ブハッ!!!」
勢いよくアルコールを藤木の口の中に放水したら、むせたようで、アルコールが藤木の口から盛大に飛び出して私の顔にも藤木の顔にもお互いの服にもコタツにも飛び散った。
「ふはははははっ!!!」
おかしくなって笑い出した私と一緒に藤木も笑い出した。
「きったねー、吐き出すなよー。あははははっ。」
「いや、だってさ、あんなに勢いよく口の中に入れられたら誰だって吹くよ。あははははっ。」
楽しく笑って、自分の陣地に帰った私を見て、藤木がまた笑った。
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