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「料理はコースで注文しておきましたんで、飲み物は各自で注文ってことでお願いします。」
まさか、飲み放題にしてグイグイ飲ませようなんて考えてないよ。
飲み放題の中のメニューよりも、自分達で頼んだ方が楽しい飲み物が注文できるから。
試験管に色んなアルコールが入ってやってくる飲み物とか。
ビーカーと注射器でやってくるのとか。
「新藤さん、何にしますか?」
一応、年功序列だし上下関係の厳しくない漫画同好会とオカルト研究会に所属していたけれどもやっぱりそこは聞いておかなくては。
「ん?ウーロン茶にしておくよ。」
「えー、試験管のとか注文して下さいよ。」
「あははっ。まぁ、なんて言うか、俺のいないところでは飲むなって言う人がいるから・・・。」
・・・気が付いてたけどさ。
その右手の薬指に光る指輪。
まさか。
まさか。
「まさか、新藤さん、彼氏ですか?その指輪って。」
「はははっ。うん・・・いや、婚約者になるのかな。来年結婚するから。」
・・・結婚!?
あの新藤さんが!?
「それって、アレですか?『婚約者って言っても親同士が決めたものなのよ』的な感じですか?」
「もう、ベスちゃん、それミライさんでしょ。違う違う。普通に会社の上司だし、はははっ。」
まさか、あの新藤さんが。
なんか、打ちのめされた。
笑いの伝道師なのに!?
やっぱり、ワキガでないただの汗っかきだったら男女交際のハードルは下がるのか!?
うおーーーーっ。
叫びたい衝動に駆られて目の前の藤木を見て、笑いたい衝動に駆られた。
やばい、飲んでないのに今日は興奮してる。
「おめっとごじゃーますだー!!!」
興奮し過ぎて呂律がまわっていなかったけれども、新藤さんも気にせずに
「ありが10匹。なんちゃって。」
なんて学生時代みたいなノリで返してくれた。
楽しい、楽し過ぎるくらいに気分がいいっ!!!
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