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後片付けを終えたら、へらへらと笑いながら僕の顔を見上げてくる。
ベスは名古屋駅前で全力疾走したり、地下から地上への階段を全力で駆け上がったり、とにかく僕の中に鮮やかに強烈な印象をいつも残してくれる。
今日のブラを見たいと言ったのも面食らったし、アレがないなら買いに行こうにも正直びっくりした。
そんな彼女がヘラヘラしながら僕を見上げてきたら、何を言われるのか何をされるのか、ドキドキする。
肩上までの髪の毛を両耳にかけて斜めに流した前髪から覗くオデコ。
僕を見上げる純粋そうな目。
「深イイ仲になるはずなのに、まだ1回しかキスしてない。濃厚なキス、してみてよ。」
「酔っ払ってるでしょ。」
ベスに聞いてみたら、頷きつつも嬉しそうに笑ってる。
ダメだ。
負けました。
好きな女の子にキスをせがまれて断る理由もない状況だったら、しておくよなぁ。
たとえムードの欠片も感じられないような狭い台所だったとしても。
ほら、背伸びをして僕の首に手をまわしてくるその行動が可愛いし、多少のアルコール臭さなんて気にならないくらいに僕もアルコール臭いし。
ごちゃごちゃと自分への言い訳を考えてしまう程度にしか酔っ払っていないのは僕だけで開放的に気分良く酔っ払ってるらしいベスが羨ましい。
濃厚なキスと自分で言ってきた割に、自分から舌を絡めにこないところが意外なんですけどね、絵里ちゃん。
目を瞑ってる顔を至近距離で確認しながら、僕にキスをおねだりしたのが悪いんだからねと彼女の頭の後ろに片手を持っていって逃げられないようにしつつ、さっき僕の服の中に手を入れてきたお返しとばかりに青色ジャージの上着の中に手を入れて生身の背中を触ってやった。
男の肌とは明らかに違う柔らかな肌を手に感じつつ、彼女の唇を割って自分の舌を入れ、彼女の舌を絡め取って、びっくりしたような雰囲気を醸し出す彼女の頭を片手で押さえつけて濃厚なキスを続行。
強請ったのは絵里ちゃんの方だしね。
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