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しまったな、乾杯するのに私だけ貧相な試験管だ。
チラッと見たイッシーとナンちゃんは乾杯しやすそうだ。
ビーカーにフラスコ。
仕方がない。
「自己紹介っていりますか?まぁ、いいですよね。乾杯しましょうよ。みなさん、飲み物、持って下さい。」
飲み物も行き渡ったところだし、さっさと飲みたい気分だ。
ちょっと酔っ払ってしまえば目の前の藤木に失礼なことを言ったりしても酔っ払いの戯言で済むだろう。
いや、もう二度と会わないだろう相手に気を遣うこともあるまい。
さっさと飲んで酔っ払って、藤木本人にあの髪型について突っ込みたい。
むしろ、絡んで弄ってみたい衝動に駆られてる。
ここは一発、笑いの神風を吹かせるしかない。
華々しく滑って散ったとしても、藤木を弄れるならそれもいいだろう。
「はい、じゃぁ、今夜は盛り上がって楽しみましょう、オツカレーライス!!!」
「「「オツカレーライス!!!」」」
女性人だけからのオツカレーライスを頂いて、珍妙なる空気を醸し出した男性陣だったけれども。
「オツカレーライス!!!」
藤木がノッてきた。
なんだ、髪型おかしいけど、ちょっといいやつじゃん、藤木。
そして、藤木のオツカレーライスの声を聞いて慌てたように3人がオツカレーライスと言って、それぞれの飲み物をカチンカチンとやって飲みだした。
前に来たときも思ったけど、試験管の中のアルコール、何だよ。
色も青とか赤とか怪し過ぎだろっ。
とりあえず、調合からだ。
「赤と青を混ぜると何色になるんでしたっけ。」
「紫だよ、ベスちゃん。早く、やってやって。」
ワクワクした目で新藤さんが見てるから早速、赤色の液体と青色の液体を混ぜてみた。
うほっ、キタキタキタキタ。
怪しげな色。
「うわっ、それ、やばそうだね。」
隣のイッシーも口元に下品な笑みを浮かべて喜んでる。
「じゃ、すきっ腹にいっちゃいまーす。」
飲んだ瞬間にカッと目玉が飛び出るほど喉と顔が熱くなった。
「クワッ、これ、めっちゃ強いっすよ。アルコール。酔っ払いました!!残り、全部混ぜちゃいまーす。」
一気に楽しい気分になって、目の前の試験管3本を調合。
なんとも汚らしい色合いの飲み物が出来上がって、イッシーともども爆笑した。
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