紅葉狩りはどこへ???

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コタツに入って、頭をテーブルにもたげて目を瞑って台所で藤木が何かをしているらしい音を聞いていた。 朝、恥ずかしいことをたくさんした間柄だべ。 こっちが襲うと思っていたのに、ほぼ一方的に襲われ続けたべ。 でも、紳士だったし、おかしなことはなかったなぁ・・・。 って、何を考えているんだ、落ち着け。 鼻息が荒くなりそうだ。 ガラガラっとすりガラスが開けられ、藤木が登場。 なんか、素敵に見えるべ。 致しちゃったからだろうか。 それとも、藤木はもともと素敵系な人だったんだろうか。 「寝言でエリーが言ってたから作ってあげたよ。」 ん? 寝言で? 私が? ふわっと笑って、コタツの上にお皿を置いた藤木。 そのお皿の上には、肉巻きおにぎりだっ!!! 美味しそうに見える。 「こっちが塩味で、あっちにタレがあるからもうちょっと待ってて。」 待っててと言いながら笑いつつ、私が肉巻きおにぎりに伸ばした手を掴んでコタツの中に手を入れられた。 お腹、ペコペコなのに待てって・・・。 だいたいお腹がペコペコな理由の原因は藤木なのに。 恨めしいべ。 「そんな顔してもダーメ。待っててよ。お茶でいい?インスタントの味噌汁もあるよ?」 あぁ、いいなぁ。 こんな奥さんが欲しいべ。 「お手伝いします。」 「ん?そう?じゃぁ、お願い。」 藤木の後ろをついて歩く、気分はアヒルの子供だべ。 インプリンティングされたべ。 どこまでもついて行ってやる。 藤木の指示に従って、お茶とお箸を運んだら、その間に藤木は味噌汁とタレの肉巻きおにぎりを運んだ。 なんだ、このほのぼの空間は。 朝の熱々ラブラブでうっふんあっはんなことしてしまったのを引きずっての照れ照れな感じがまったく感じられない。 こんなもんだったっけ? 殿方と致してしまった後って。 記憶の彼方すぎて覚えがない・・・。
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