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塩の肉巻きおにぎりを食べた。
「まいう~。」
私のリアクションにふわっと笑って藤木も
「まいう~。」
と言った。
うん、この感じがいいべ。
塩の肉巻きおにぎりを食べた後、タレの肉巻きおにぎりに進撃。
甘辛いタレとご飯とお肉。
堪らんべ。
「まいう~。」
私が言ったら、やっぱり藤木がふわっと笑って
「まいう~。」
と返してくれる。
藤木の笑った顔を見ていたら、朝のことを思い出してきたべ。
恥ずかしい。
お皿に載せたおにぎりに目線を移動。
藤木を見ないようにしよう。
落ち着かないと。
斜め90度の場所に座ったのがいけなかったのか。
いや、正面なら正面でそっちの方が見えてしまうに違いない。
モソモソとおにぎりを咀嚼して、インスタントの味噌汁に箸を伸ばす。
「今から行ったら、大渋滞だよね、きっと。」
藤木の話す言葉が差し示すのは紅葉狩りに違いない。
「だね・・・ごめん、寝ちゃって。」
「ん?いや、僕がヤリ過ぎただけだからそれはいいんだけど、紅葉狩りに行きたかったかなって今更ながらに思っただけだよ。」
藤木の声が聞こえる。
ヤリ過ぎたとかって、さらっと言ってるべ。
この変態野郎め。
「紅葉狩りよりも、絵里を狩れて大満足だしね。」
「ブッ。」
藤木がおかしなことを言うから、口の中から米粒が発射された。
「ぷっ、あははははは。そんなに動揺しなくてもいいのに。可愛いなぁ。」
誰?
いつもの藤木はどこに行った?
さらっと押せ押せのこの藤木はいつもの藤木じゃないべ。
ドキドキさせられてる。
コタツの上に飛び散った米粒を藤木が指で拾い集めて、口の中に持って行ってしまった。
「ってこら、汚いから止めてよっ。」
「えっ?汚くないよ?」
いやいや、私の口から吐き出されたものを普通に食べるなよ。
見てるこっちが恥ずかしい。
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