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「富田さん、トミーさんって呼んでもいいですか?」
目の前の藤木に聞かれて、口からアルコールを噴出した。
「ダメ、ベスって呼べ。藤木は藤木でいいよね?」
「あー、藤木でいいです。」
藤木本人から名字呼び捨ての学生ノリに了解をもらっていい気分だ。
「その頭、おかしくない?誰にも何も言われないのか?」
若干絡んでる感じだけど、隣のイッシーも笑ってるからこの質問はオッケーだろう。
「ちょっ、ベスちゃん、もうちょっとオブラートに包んで聞いた方がいいんじゃない?」
オブラートに包めと言われても。
「新藤さん、オブラートに包んで藤木に聞いてみて下さいよ。」
「えっ・・・。藤木君、その素敵な髪型、どうやって注文したら作れるの?私も同じような髪型にしたいから注文の仕方を教えて欲しいな・・・とか?」
ヤバイ、ツボった。
ヘルメットだよ、新藤さん。
絶対に同じ髪型になんかしないくせに。
丁寧に聞いてるようで、おかし過ぎるから!!!
「ぶはっ、新藤さん、腹が痛い。なんで、笑いもせずにそんなおかしな台詞を繰り出せるんですかっ。アルコールで私がおかしいだけですか!?」
試験管の次に注文したビーカーを一飲み。
冷たい喉ごしの後、カッと熱くなった。
「はははっ。笑ってやってよ。こいつさ、合コンが久しぶり過ぎて昨日、定時で上がって速攻で美容院に行ったんだって。」
爽やかに山岸さんが説明してくれる。
「ビューティーサロンっすよ。うちの隣の家がビューティーサロンをしてて。で、合コン行くから恰好良くしてねってジェームズに頼んだらこうなったんですよ。」
藤木のヘルメット頭もさることながら、ビューティーサロンにジェームズ。
「ジェームズって誰?」
うんうん、思った、思った、良い質問してんじゃん山根。
「あー、そこのビューティーサロン、ご夫婦でやってて、ママさんの方がアンジーでパパさんの方がジェームズなんすよ。二人とも日本人なんですけど。」
「ぶはっ。」
ツボった。
二人とも日本人なのにアンジーにジェームズ!!!
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