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「千恵さんは父親の姉なんだけど、俺が勘当されたことも知っててね。今、住んでるところを教えてくれたのも千恵さんなんだよ。面倒見のいい伯母さんなんだ。」
奥に引っ込んで行った千恵さんの説明をしてくれる藤木。
その顔は笑顔だ。
勘当されてしまったはずなのに、父親のことも語っているはずなのに。
「たまにここに顔を出しておけばさ、千恵さんから僕の母親か父親に元気にしてるって伝わるからね。」
ふふっと笑った顔。
親孝行じゃん。
家を飛び出しても、自分が元気にしてることをちゃんと伝えてるってすごいべ。
私が藤木の立場だったら、そんなことに気をまわさないと思うべ。
「でね、千恵さんの息子さん、俺の従兄がいるんだけどちょっと変わってるんだよね。」
ブラ男の藤木にちょっと変わってるって言われる従兄。
いったいどんな風に変わってるのか。
「どんな風に変わってるの、その人。」
気になるべっ。
「う~ん、僕には想像できないんだけどさ、大学の先生になったみたいでね。研究に没頭して20代を通過して今や35歳だよ。」
へぇっ・・・想像できないべ。
研究に没頭。
いったい、何を研究してるんだろう。
いやいや。きっと、聞いても理解不能だべ。
大学の先生ってのは、そういう生き物だべ。
一般ピーポーとは脳みその構造が違うんだべ。
構造改革でもしてもらわねば、きっと会話もままならないに違いない。
「他に聞きたいことは?いっぱい話すんでしょ?」
にっこり笑ってる。
ずるいべ。
また、赤い実が弾けそうだべ。
ゲージにどんどんたまっていってるべ。
充電が完了したら、またパチンと弾けてしまう。
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