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甘くないコーヒーとパフェに全力投球してしまって、当初の目的であった藤木とたくさん話すことを達成できずに気が付けばパフェの終わりが見えてきていた。
相変わらず、最初からのペースを崩すことなく涼しい顔をして甘いコーヒーと甘いパフェを食べる藤木。
密かに尊敬だべ。
この人、何が起きても動じないのかもしれない。
「そうだ、来週こそは香嵐渓に行こうね。」
藤木に言われて思った。
今週、香嵐渓に紅葉狩りに行けなかった原因は君ですよと。
「そうだね、コージーが変な気を起こさないように駅で待ち合わせにするか。」
「えー、いいじゃん、土曜に泊まりにおいでよ。あっ、それか金曜日でもいいよ。」
ニコニコし過ぎだべ。
爽やかエロ青年だな。
「泊まるか泊まらないかは、藤木と付き合ってるって言ってみたときの親の反応を見てから決める。」
自宅で親と一緒に住んでる私にとって、親の意見に従うわけではないけれども、それなりに親の意向も尊重しないと・・・。
いい大人だし、煩いことは言ってこないけれども、やっぱりそこは大事にしていかないといけないポイントだべ。
「そっか、そうだね。うん、じゃぁ、今日、エリーを送っていったときにご挨拶しようっと。」
うんうん、そうそう・・・ん?
今、何か、サラッと聞き捨てならないような言葉が頭の中を通過したべ。
「今、なんて言った?」
聞き返したら、ニヤッと笑ったべ。
「だから、ご挨拶していくって言ったの。真面目にお付き合いさせていただいてますってね。ご挨拶が遅くなって申し訳ありませんって言わないと。エリー、僕の家にお泊りしたんだし。」
律儀・・・。
紳士・・・。
爽やかな印象を受けそうな、そんな顔。
パフェの残りをキレイに掬い上げてる藤木の所作に見とれます。
なんか、やることなすことソツがなくてキレイだべ。
この人、本当にワッキーの私と付き合ってて親に挨拶までしていいんだべか?
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