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すべてのパフェを食べ終えて、コーヒーも飲み干して、お会計。
藤木が払ってくれたべ。
なんかこそばゆい。
男の人に払ってもらうのが普通だとは思ってないし、割り勘とかそんな感じの付き合いをしていたことが多かったから、普通に藤木が払ったのがこそばゆい。
ギィっと音がするドアを開けて、外に出たらさすが11月。
夕方前だけれども、もう寒いべ。
すんなりと繋がれた藤木の手の温もりを感じる。
体温っていいなと思う。
「競争しよっか。」
藤木から提案されたから笑った。
酔っ払ってないのに、走るのかって。
「いいけど、そっちのが速いじゃん。」
「パフェ食べたからお腹がいっぱいでさ。太らないように走ろうよ。」
男のくせに、パフェで太らないようにとかって。
やっぱりブラ男の思考回路はちょっと乙女チックなんだろうか。
「そっか、太ったら嫌だし、走ろうかな。」
私が言った瞬間に繋いだ手をグイッと引っ張られて、ヨタヨタした私を藤木の手が受け止めた。
ガッシリと片手で私の腰を掴んで拘束された。
耳元に寄せられた藤木の唇。
「負けたら絵里を抱くよ。太らないように運動しようね。太ったら嫌って今、言ったもんね。」
ドキドキしたのは、言うまでもない。
それに、どんだけ変態絶倫男なんだよとちょっと恐怖心が芽生えた。
それから、藤木の手を振りほどいて先にスタートダッシュをかけたのは言うまでもない。
絶対に藤木の方が速いから、ちょっとでも早くスタートせねば。
住宅街の中、私と藤木が笑いながら全力疾走する姿はきっとおかしいに違いない。
グングン加速させて、真剣に走る。
でも、すぐに藤木の息遣いが聞こえてくるし、足音も聞こえてくる。
掴まえられてしまった右手。
「僕の勝ちだねっ。」
ほら、走りながら余裕をかましてるべ。
でも、勝負は最後までやってみないと分からない。
藤木に掴まえられて、若干スピードを落として並走してるけれども、藤木の家が見えたところで、藤木の後ろを指差して叫んだ。
「あーーーー、アレ何?」
私の指差した方を振り返った藤木を見て、ニヤリだ。
繋がれた手を振りほどいて全力疾走再開!!!
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