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「あっ、ずるいぞ!!!」
藤木の声が後ろから聞こえたけれども、油断した藤木が悪いべ。
藤木の車の横をすり抜け、玄関前の物置スペースの引き戸の前で止まって息を整えた。
すぐにやってきた藤木。
藤木も私の隣で息を整えてる。
顔を見合わせて笑った。
いい大人が真昼間から何をやってるんだろうと思うとおかしくなってきたべ。
笑っていたら、藤木が私の左手をグイッと挙げてきた。
ん?
何だろうと思った瞬間。
!?!?!?
「わっ、バカっ!!!」
私の左ワキに顔を寄せて臭いを嗅いできたべっ。
体を引いて藤木から逃げたけれども、顔を上げた藤木の顔の嬉しそうな感じ。
「そんなに臭わない。あぁ、残念。」
「ば、バッカじゃないの!!!」
恥ずかしくて、他に言うべき言葉が分からず咄嗟に出た一言に軽く笑った藤木は私の頭に手を乗せて
「好きな女の子の臭いに興味があったらバカかなぁ。」
なんて微笑みやがった。
負けた。
なんか、完全に負けた気がした。
脱力だべ。
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