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「すごい髪型だよね。ヘルメットを被ったみたいになってるよ?」
「ベス、オブラートに包め、オブラート。」
隣のイッシーから小声で注意されるも藤木は嫌な顔一つせずに顔をくしゃっとさせて笑った。
ん???
なんか今、キタ。
いや、気のせいだ。
もしくは、アルコールのせいだ。
きっと飲み方が足りないな。
よし、もうちょっと飲んでおこう。
グビッとな。
ふわふわする。
「そう、僕もちょっとおかしいなと思ってジェームズに元に戻してくれって頼んだんだけど、いいからこれで合コン行って来いって戻してくれなくて。はははっ。」
藤木、一人称は『僕』って。
ちょっと育ちがいいんでねーか?
「藤木君、今日はあっちこっちで笑いを提供してたしなー。」
おっとりのんびりした口調で山根が付けたした。
美味しいじゃねーべか?
笑いを提供。
笑いを提供と言えば、新藤さん。
昨日、イッシーと笑いまくった新藤さん伝説を二人で披露して、場を盛り上げてみた。
腹を抱えて一番に笑っていたのは山岸さんで
「やっべー。緑ジャージって高校のときのだろっ。腹、イテー。で、サングラスってあのサングラスかよっ。」
「はははっ。そんなこともあったっけなー。」
とぼけたことを言ってるけど、そう言えば。
「そう言えば、新藤さん名大生を振ったときに人生初めてのデートは好きな人としたいって言ってましたよね?その指輪の彼のこと、好きだったんですか?」
「えっ?全然。尊敬する上司だったよ。うん、だから最初やっぱりデートはダメって言ったんだけど・・・デートするまでに好きにさせてやるみたいな・・・あはははっ。」
「うわっ、肉食系ってやつですか?違う、俺様?」
「あー、俺様じゃなくて男気だって言ってたけど、どうかな。」
どうかなって言いながらも幸せそうな顔を見せられて、なんとなく、どことなく、取り残された気分がした。
ほんの一瞬だけ。
すぐに気を取り直してビーカーの液体を体内に注いだから。
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