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「あはは、冗談に決まってるでしょ。おバカさんだね。ここがあるのにラブホになんて行かないでしょ。」
笑った僕を軽く睨んでくる顔も新鮮で可愛い。
「もう帰るケロ。」
プイッと横を向いたベスに笑って、立ち上がった。
「そっか、送ってくケロ。」
えっという顔をしてこっちを向いた顔を見て噴きだした。
「なわけないでしょ、おバカさん。散歩、行こう。」
僕が立ち上がったら、ベスも立ち上がった。
散歩と言っても、本当にただ近所を歩くだけしか思いつかないけれども、それでもいいのだろうか。
そして、近所を歩いていたら、僕の実家も近いんだけどなぁ・・・。
ただの散歩だというのに、楽しそうなベス。
交差点に差し掛かる度に
「右?左?まっすぐ?」
と聞いてくる。
「どっちでもいいよ。道は繋がってるんだしエリーの行きたい方向でいいよ。」
そう言えば、キョロキョロと辺りを見回して、自分の勘に従って進む方向を決めているようだけれども、グルグルと同じ場所をまわったりしてることもある。
「もう、ずいぶんコージーの家から離れた?」
全然、離れてないよ。
何で分からないんだろう。
「まだそんなに離れてないけど?」
「じゃぁ、しばらくは真っ直ぐ歩くことにする。」
鼻歌でも歌いだしそうなくらいご機嫌な様子。
ただ歩いてるだけなんだけど、ご機嫌な彼女と同じくらいに、僕もご機嫌かもしれないな。
ただ歩いてるだけでも、嬉しいんだから。
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