コンビニ おでん

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「ごはん、いらないの?」 藤木に聞かれるも、午後からのパフェが効いてるべ。 「うん、いい。食べたければ、コージーは食べてケロ。」 「じゃぁ、ちょっとだけ。あっ、そうだ、肉みそのっけようっと。」 おいおい、聞いたべか? 肉みそ。 チョー美味しそうだべっ。 「やっぱりちょっとだけ食べる!」 コタツから立ち上がり、藤木の後ろを追いかけ叫んだら笑われた。 「そう言うと思ったよ。」 体を揺らして笑う藤木の背中に、手を伸ばした。 ブラ発見。 「あっ、こら。」 私の手から逃れるように器用に体をずらして振り返った顔が笑ってる。 「だーめ。大人しくしてないといつまでたっても用意ができないよ。」 まるで、子ども扱いされてるけれどもそれもまた心地良い。 こんな付き合いは初めてだべ。 残念ながら、私の過去にこんな付き合いはなかったな・・・。 いつも、私が相手にご飯を作ったり、いろいろと世話を焼いていたような気がする。 たいして料理が上手なわけでもないのに、涙ぐましい努力をしていたような・・・。 こんな私と付き合ってくれてるっていう劣等感のなせるワザだった。 それでも、ダメになったんだべ。 藤木との付き合いは、これでいいんだろうか。 一緒にいると楽しい。 間違いない。 変態絶倫野郎だけれども・・・嫌じゃないし。 嫌って言わなければ、良好な関係のままだろうか。 黙ってごはんをよそって、その上に肉みそをかけてる様子を見つめた。 いつも、こうやってご飯を食べて生活してるんだべ、きっと。 マメな人かもしれない。 「しまったなぁ。お汁もサラダもないから貧相じゃない?」 私にお茶碗とお箸を渡しながら聞いてくる。 いやいや、食べさせて貰ってそんな贅沢言わないし、大量のおでんがある時点で豪華だべ。 「タマゴがたくさんあるから豪華だよ。」 出来心でタマゴリアンのタマゴ心をくすぐるようなことを言った自覚アリだ。 藤木の顔が物凄く嬉しそうに笑顔爆発な顔になった。 破顔っていうのはこういう顔だべ。 「だよね。タマゴは大事なタンパク源だしね。」 藤木の後ろに音符が見える気がした。
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