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「エリーに話したら胸に詰まってた物が軽くなった気がする。ありがとう。」
微笑む藤木に私も笑った。
「また、話を聞かせてよ。」
いっぱい聞けて嬉しかった、いや、あなたを知れて嬉しかった。
違うな、何だろう。
嬉しいがまず、違うのか。
でも、知りたいっていう欲求が満たされるんだから嬉しいのか。
満足感に近い感じだべ。
「次はエリーの話を聞かないとね。」
笑う藤木に肩を竦める。
「話して聞かせるほどの話はないと思うよ。」
「そう?エリーって人がどんな人なのか、僕は知りたいよ。」
私が藤木を知りたいと思ったように、私のことを知りたいんですよね。
同じ気持ちかぁ。
「何を話せばいいのか分からない。ワキ汗について?洗濯しても臭いが取れないワキの臭いについて語ろうか?」
「あははっ。おバカさんめ。でも、そういう話でもいいよ。」
食べ終えてしまったお皿を下げる藤木を手伝いながら、24時間防臭と書いてある柔軟剤が1分も防臭できてない夏場のワキ汗の臭いについて語ってみた。
笑う藤木に、憤る私。
さっきと立場が逆転だ。
「じゃぁ、服の臭いは取れないの?」
そんな質問に裏ワザがあることを教える。
ひと手間かかるけど、漂白剤につけると臭いが消える。
あれって、すごい薬品だべ。
危険なことこの上ないと思う。
さすが漂白剤。
「へぇー。夏になったら僕が洗ってあげるよ。」
さらっと、とんでもないことを言いだす藤木に焦る私。
「いやいや、無理無理。人様にそんな一日着て臭った服を触ってもらうなんて無理無理。」
「いいじゃん。他人じゃないでしょ。」
「他人じゃんっ!!!」
「ん?あっ、そうか、他人か。でも他人じゃなくなる方法もあるじゃん。」
・・・他人じゃなくなる方法???
合体するの?
テレビアニメみたいに?
「フュージョン?」
「ぶはっ。おバカさんだね、エリーは。あはははっ。フュージョンって!!!」
体を折り曲げて笑い出した藤木を見て、なぜだかおかしくなって私も笑った。
笑いは伝染するべ?
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