コンビニ おでん

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藤木の車に乗って、自分の家に送られる。 変な感じだなと思いつつ、外の景色を眺めた。 真っ暗だから眺めたと言っても、見えるのはお店の明かりに車のヘッドライト。 ブレーキランプにウインカー。 「コージーの趣味って何?休みの日は何してるの?」 「んー。ドライブ。」 「一人で?」 「今まではね。」 ドキっとしたべ。 今まではってことはこれからは違うって匂わせてるべ。 私はかわりにワキ汗を臭わせよう。 いや、臭うなワッキー。 「絵里ちゃん、無視するのやめてくれない?サミシイヨー。」 クスクス笑って、ワザと片言の日本語を使ってくる。 絶対にサミシイって思ってないべ。 「ブラ、見せてくれないコージーのがサミシイヨー。」 言ってやったらまた笑ってる。 「やだよ。見せたら脱がせようとしてきそうだし、脱がされたら襲ってきそうだし。」 なるほど。 確かに。 「間違いないね、見たら脱がせたいし、脱がせたら襲いたい。」 なんか納得だ。 「でも僕は襲いたい方だから。ふふっ。」 藤木は、ふんわりした紳士な印象なのに、そしてその印象通りの人なんだけど、自分の意思を通してる。 ブラ男なんて、意思の弱い軟弱男子なのかと思いきや、そんなことはない。 いかにも俺様でオラオラな感じの人が自分の意思を曲げないのは普通だべ。 しかし、藤木のようなタイプでもしっかりと自分の意思を持ってる人もいるんだな。 そりゃそうか。 じゃなきゃ、勘当だって言われて家を出たりしないか。 優しそうな顔して、本当に優しいところもたくさんあるのに引かないところもあるってなぁ。 いい性格してるべ。 仕事するとき、藤木みたいなのが相手だったらやりにくいのかもなぁ。 同僚としてだったらいいけど、取引先だったりしたら・・・。 いや、そこもうまく立ち回ってそうか。
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