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山田さんに定時あがり仲間と言われ、トミーとまで言われて微妙だけれども、そこまで仲間意識を植え付けられると一緒に定時に席を立ちたくなるべ。
負けず嫌い。
時間ぴったりに立ち上がろうと思って山田さんを見たら、小鳥遊さんと山田さんがこっちを向いた。
悪いことをしてるわけじゃないけど、イタズラするときにお互いの顔を見合わせるようなワクワク感を久しぶりに感じた。
きっと、ニヤリと笑ったべ。
ガタンと3人で立ち上がって
「「「お先に失礼します。」」」
一言一句違わずに声を発した。
見事なユニゾン。
なんとなく、達成感を感じてふっと笑ってしまった。
もちろん、そのまま退社だべ。
私は更衣室に、山田さんと小鳥遊さんは家路を急ぐ身だ。
「今夜のおかずは何だろうな~。でもその前に、子供と風呂か~。たまにはゆっくり浸かりたいなぁ。」
「お子さんが寝た後に入り直せばいいんじゃないですか?」
「まぁ、そうだけどさぁ。子供が寝た後は大人のゴールデンタイムに決まってるし。小鳥遊の家はいつでもゴールデンタイムだろうけど。あぁ、いいよなぁ。二人っきりってさぁ。」
山田さんと小鳥遊さんの会話を聞きつつ、ゴールデンタイムの言葉の使い方がちょっと面白いべ、山田さん。
使えるべ。
大人のゴールデンタイム。
「お疲れ様です。」
二人に声をかけて更衣室に向かった。
「「お疲れ~。」」
口を揃える二人の背中を見送って私も帰り支度だべ。
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