トミーなエリーは社会人

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ひっきりなしにホームに突撃してくる電車を見つつ、すぐにやってきた目的の電車に乗った。 当たり前だけれども、混んでる。 コートの中で蒸れるワキ汗。 手に汗握る状況って言うか、ワキ汗滴る状況だべ。 藤木は気にしないって前にも言っていたけれども、変態気味の藤木のような人ばかりではないのだ。 どうやら、吊り革ゾーンではなく、出入り口付近にとどまることにしてくれたらしい。 ドアが開閉する度に寒い思いをするけれども、ワキの臭いが気になってる状況だからこっちの方が有り難い。 私を壁際に追い込むようにして、目の前に立たれるとドキドキしてしまう。 見上げたら、変顔をしてくる。 爽やかサラリーマンが台無しだけど、負けるわけにはいかないべっ。 新藤さん直伝の秘儀・白目ゴリラだべ。 目は白目 そして、口の中の舌を上の歯の表側にいれて鼻の下を膨らます。 「ぶはっ。」 満員電車の中で盛大に噴き出して肩を揺らす藤木を確認して顔を元通りのノーマルな状態に戻した。 まだ、肩を揺らし続けてる。 なんか楽しい気分が伝染してきて、私まで笑えてくる。 車内の疲れたオーラを背負ったサラリーマンやOLさんの冷たい視線を感じる。 あいつら、何をやってるんだよ、バカバカしい。 そんな視線を浴びることもまた、快感だべ。 羨ましいだろ。 そう言って叫びたい。 こんなにくだらないことして楽しめる恋人同士なんてそうそういないべ? 羨ましいだろ。 私の彼氏は可愛いブラに身を包んだ変態絶倫男子だべ? あぁっ、叫びたい。 「香嵐渓さ、今週末あたりが一番の見頃だって。」 笑いをおさめた藤木によってもたらされた香嵐渓情報。 この前の週末は藤木に襲われ、眠ってしまってダメになってしまったけれども、一番の見ごろに見に行く予定なら結果オーライだべ。 「楽しみだね。」 見上げて言ったら、藤木も微笑む。 キレイな弧を描く藤木の唇、大好きだ。 今週末は吸引力の落ちない掃除機ぐらいの勢いでもって、藤木の唇を奪って襲うべ。
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