リベンジ紅葉狩りイブ

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どうせ食べるなら袋からたこ焼きを出しておくべ。 ビニル袋からたこ焼きの入った紙パックを出して、匂いに負けて蓋を開けた。 かつお節と青のりにこってりトロトロのたこ焼きソースが絡んで、美味しそうだべ。 湯気の湿気でかつお節がたこ焼きの曲面に張り付いてる様子が、またいい感じだ。 岡崎一美味しいと書くだけあって、前に食べたときも美味しかったもんなぁ。 「先に食べてもいいよー。」 台所からの藤木の声。 これは、明らかに私がたこ焼きのパックを開けたガサガサという音がしたからだべ。 「いつでも食べられるようにスタンバイオッケーでっす!待ってます!」 「ぶっ、食べていいってば。僕の方も用意できたし。」 そう言いながら両手にコーヒーカップを持って現れた藤木。 顔がニコニコしてる。 そんなにたこ焼きが好きなのか? この前と同じように、斜め90度の場所に座った藤木。 コタツの中で伸ばした私の脚に当たる藤木の脚。 顔を見合わせて、微笑み合った。 「ふふふっ。」 「へへへっ。」 「僕の水虫がうつったらごめんね。」 「あー、私も水虫だから大丈夫。むしろ、どっちの水虫が強いか勝負だねっ。」 「ぶっ、それ本当?」 笑いつつも、若干引きつる藤木の顔。 してやったりだべ。 多分、藤木の水虫はウソだったな。 「うっそピョーン。」 「僕が騙したと思ったのになー。」 こんな何でもないやり取りが最高に楽しいべ。 「エリーってさ、ほっぺたのお肉を指で丸く囲ってたこ焼きってやったタイプでしょう?」 ニコニコしながら聞かれる藤木の想像するエリー像。 間違ってないから驚きだ。 よく、分かるねと。 ついでに、耳を指で閉じて 「餃子、コレもやったよ。」 デモンストレーションだべ。 「ふはっ、想像通りのおバカさんだ。」 笑った藤木の顔とすでに何度目かの『おバカさん』の言葉。 バカにされてるわけではなく、そこから愛を感じる私が一番の『おバカさん』だべ。 惚れた弱みだ。 何を言われても、愛を感じるべっ。
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