リベンジ紅葉狩りイブ

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階段を降りてくる藤木の足音に、必要以上に高鳴る自分の胸の鼓動。 青ジャージの上から両手を胸に当てて、その鼓動を確認してみた。 やばい、赤丸急上昇中だべ。 台所を横切って、藤木が脱衣所の扉を開けた音。そして閉めた音。 そうっと、物音を立てずに立ち上がって、抜き足差し足忍び足で素早く台所を移動。 気分は警察映画だべ。 壁際に体を貼りつけ、扉の向こう側の衣擦れの音に耳を澄ませる。 衣擦れの音なんかよりも、自分の鼓動の方がよく聞こえる。 手に汗握る、ワキ汗滴るこの状況。 ハラハラドキドキ。 そうっと、そうっと引き戸に手をかけ、そうっとそうっと開けた・・・ その隙間、およそ5ミリ。 ドキドキだ。 ダメだべ。 藤木の足が微かに見えるだけだべ。 ここは、警察映画よろしく扉を全開にして容疑者を確保するしかねーべ。 覚悟を決めろ。 怒られるかもしれないべ。 でも、この欲求には勝てねーべ。 深呼吸を一つ。 私の頭の中には、なぜか警棒を持った偉い警察官。 その偉い警察官が警棒を上から下に振り下ろして叫んだべ。 『突撃!!!!!』 突撃命令を下され、引き戸を勢いよくガラっと開けた!!! びっくりした様子で振り返った藤木の顔。 見開いた目。 アドレナリンだかドーパミンがナイアガラの滝のように上から下に勢いよく流れる私の頭の中。 「うわっ、何、何、何!!!」 咄嗟に藤木の手で隠された半スケスケ気味の繊細なレースが施された薄いピンクのブラ。 「ウホホホホホホホホーーーー!!!」 理性VS野生 野生の勝利!!! 藤木に突撃!!! 「こらこらこらこらっ!!!あっち行きなさい。」 突撃した私の体を片手で押し返す藤木。 「減るもんじゃないし、いーじゃんっ!!!ケチッ!!!」 「そういう問題じゃないでしょ。ほら、あっち行ってよ。そういうのは、後からにしてっ。」 暴れて、その場で藤木を押し倒してブラを剥ごうかと思っていたけれども、後からならばやってもいいという藤木の言葉を聞いて止まった。 「約束だからねっ!!!」 ビシっと人差し指をたてて藤木の顔の前に出した手。 「もうっ、どんだけおバカさんなのさ。ほら、あっち行って。」 頷いたのを確認して、総員退避命令だべ。
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