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藤木が風呂場から出てきた物音を聞いて、立ち上がった。
抜き足差し足忍び足。
警察映画、リターンズ。
脱衣所の扉の前で深呼吸。
そして、そうっと人差し指で隙間を作る。
その隙間、1センチ。
さっきは、5ミリで失敗したから今度は1センチ。
人はこうやって学習していく生き物だべ。
フフフフ。
そのできた隙間から藤木を覗こうとドキドキしながら、腰をかがめて顔を隙間に寄せたところ・・・。
「おバカさん。」
「うわわわわっ。」
ガラガラっと引き戸を開けられ、すでに着替えを完了した藤木の姿。
残念さんだ。
ガッカリ。
「ふっ、本当におバカさんだね、エリーってば。コタツであったまってなよ。こんなところにいたら風邪引くから。」
ガッカリして、力の抜けた私の体をぐるっと方向転換させて、あっちに行けとばかりに両手でぐいぐい背中を押された。
仕方がない。
諦めるしかないようだ。
トボトボと前線から基地まで戻ることにした。
あぁ、あのネズミ色のスウェットの中に、どんな可愛らしい下着のセットが装備されているのか。
ムラムラすんべっ。
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