リベンジ紅葉狩りイブ

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「あれ?もうお腹がいっぱいなの?」 小首を傾けて聞いてくる姿、可愛いべ。 素でやってるんだよね? 会社で藤木が襲われないか気になってくるべ。 「けっこう食べてお腹がパンパンでごわす。」 膨らんだお腹を青ジャージの上から擦ってギブアップの動作。 だって、どこからどう見ても藤木よりも私の方が食べたんだし。 「そっか。じゃぁ、残りは僕がさらっちゃうね。」 お鍋の中身を藤木が宣言通りにお椀の中に入れて、それをモグモグと食べてる。 誰よりも見た目がいい人ってわけじゃない。 新藤さんの幼馴染の山岸さんの方が普通に見たら恰好良いと思うべ。 新藤さんの自称素敵な婚約者さんと藤木だったら・・・どっちもどっちな見た目だべ。 あっちはガッチリ筋肉質でこっちは細マッチョ系。 いや、マッチョまでいかないな。 仕事のことは分からないけれども普通に仕事をしてるとして。 身のこなしと雰囲気。 そうだべ、藤木の良いところってそこなんだべ。 ふんわりと笑う雰囲気とか、キレイな所作。 あっ、こっち向いて笑った。 可愛い。 こういう顔するとこも反則だべ。 これといって特徴がないような気もするんだけど、自分の話をするときの『僕』とかさ。 纏った空気がキレイな気がするべ。 「シメの雑炊作ってくるね。」 お箸とお椀を置いて、お鍋を持って立ち上がった藤木。 何と申しましたか? シメの雑炊? 「もう、これ以上、食べられないって。」 すりガラスを開けて台所に向かった藤木の背中に声をかけた。 クスクス笑う声とともに、振り返ってこっちを向いた藤木から恐ろしい一言が。 「大丈夫、大丈夫。タマゴでとじてあげるからデザートだよ。デザートは別腹でしょ?」 ウホッ。 雑炊がデザート!? タマゴでとじたらデザートなのか!? さんざん、さっきまで藤木の素敵な部分を検証していたのに。 何もかもが吹っ飛ぶくらいのインパクトだったべ。
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