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二間続きだからこっちの部屋と物置部屋を隔ててるのは襖だけ。
物音なんて全部筒抜け。
もちろん、藤木の独り言も。
「こっちにしようかなぁ。いや、やっぱりこっちかなぁ。」
恥ずかしそうにしていたくせに、そして私が下着を取りに行ったら戻ってこなくなりそうって言ったくせに。
藤木だって悩んでたりするんだべ。
しかも、楽しそうに。
期待してもいいべか?
どんな下着を着用して登場するのか、期待していいべか?
「コレにしようっと♪」
あぁ、楽しそうな声を出しちゃってさ。
待ってるこっちの気持ちにもなってくれればいいのに。
女で良かった。
もしも男だったら、蛇の生殺しってやつだべ。
ガッチガチのギッチギチで痛いに違いないべ。
ナニがとは言わないけど、ナニがだべ。
布団にくるまって藤木の登場を今か今かと待つ気持ち。
衣擦れの音と共に高まるこの気持ち。
いまだかつて、殿方の下着にここまで気持ちが高まったことはないべ。
初体験だべ。
普通の人には体験できない喜びを与えてくれる藤木に感謝の気持ちでいっぱいだべ。
あぁ、ダメだ、叫びたい。
この興奮を抑えることなんてできないべ。
布団を被って、布団の中で叫ぶしかない。
「ウホホホホホホホーーーーーーーーーー!!!!!」
布団の中からくぐもった私の叫び声が微妙に部屋の中に漏れただろうことは私でも分かる。
「ブハッ。エリー、鼻血出たらちゃんとティッシュで拭いてあげるからね。」
物置部屋から楽しそうな藤木の声。
うん、叫び声は藤木的にオッケーなのか。
もう、これからは我慢しないで地でイクことにしよう。
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