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お手洗いから人が一人出てきて、前の人がお手洗いに。
そして、私も前にずれるけど、その前に藤木に言った。
「ゆっくり10秒数えてから移動だべ。」
何だ?
って顔をしたけれども素直に数を数えてる様子の藤木を見て素早く移動した。
よし、これで強烈なワッキー攻撃を悪気なく仕掛けることにはならねーべ。
それから、数を数え終わった藤木が隣にやって来て笑った。
肩を震わせるその肩と腕が私の体に当たって、久しぶりの殿方との皮膚接触にドキっとした。
「気にし過ぎでしょ、臭い。」
「そんなお世辞はいらねーって。なんならワキ汗ホルムを嗅ぐか?」
バッグの中からジップロック in ワキ汗タオルを取り出して藤木の目の前で振ってやった。
まさか、そんなくっせータオルの臭いを進んで嗅ぐような変態野郎が世の中にいるとは思わないし、酔っ払って多少、気が大きくなっていたからそんな暴挙に出られたに決まってる。
笑いながらジップロックを奪われた瞬間に焦った。
ヤバイ。
それは、マジでヤバイ。
「あっ、ちょっ、返せ!!!」
奪い返そうと手を伸ばしたら、藤木の手が私の手を避けた。
マズイ。
立ち上がって奪い返そうとしたら、藤木も立ち上がった。
げっ。
身長160センチに数センチ足りない私の身長では、立ちあがった藤木がさらに手を上に伸ばしたら届くわけもない。
頭がでかくて正確な身長は不明だけど、多分170センチはあると思われるし。
あれよあれよと思ってるうちに、ジップロックの口を開けてしまった。
飛び跳ねて奪おうと思うものの、届かねー!!
とうとう藤木がジップロックの口を鼻に持っていってしまった。
「わーーーーーーー!!!」
叫んでも仕方がないけど、つい叫んだ。
「ぶはっ。」
いきなり笑い出した藤木。
若干、藤木の手が下に落ちたから、ジップロックを奪い返して口を閉めた。
あぁ、酔っ払っていたとはいえ、生物兵器にもなりうる臭さの代物を渡してしまうとは・・・。
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