夜明け前

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「可愛いっ。」 耳元で囁かれる言葉に、もぞっとすれば。 「それも可愛いっ。」 だから耳、弱いのに・・・。 首元を舐められてもぞっとすれば、また首元に吸い付かれ、ますますモゾモゾするのに 「もっと、乱れていいよ。」 そう言いながら意地悪な動きを藤木の手がしていく。 「ふふっ。気持ちいい。」 私の胸を触って嬉しそうな顔でそんなことを言われて、恥ずかしいのにキュンときて 「ここが一番可愛いねっ。」 キュキュッと意地悪の極みのような動きをされてあられもない声をあげる私を見下ろして満足げな顔をする。 ダメだ、好きだ。 惚れた弱みだ。 なにをされてもいい気がする。 イジメテくるけど、痛いこととかしてこないし、基本紳士だから。 「好き。」 藤木に両手を伸ばして言ったら。 「絵里はずるい。僕の方が好きなのにさ。それに、そんなこと言われたらイジメられないじゃん。」 「好き。」 「もうっ。」 ぷぅっと膨れた顔が可愛くて笑ってしまった。 好きだと言ったら藤木はイジメる手を弱めるらしい。 だから好きを連発してやったべ。 困った顔をする藤木が可愛くて仕方がない。 私の髪の毛を優しく梳きながら、繋がった体。 頬を撫でられ、オデコにキスをされ、優しく抱き締められた。 「激しいのも悪くないけど・・・こっちのが好き。」 「もうっ。そんなこと言ったら激しくできないでしょ。」 困った顔をする藤木が可愛くて、笑ってしまった。 イジワルされるのも好きだけど、優しく繋がるのも気持ちが良い。 藤木にしがみ付きながら、本当にそう思った。
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