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夜明け前に藤木に襲われ、いや合意の上での大人で楽しい行為におよび、そのまま私は記憶を失っていたのだけれども。
起こされた。
肩を揺すられ
「エリー、ご飯できたよ。」
「んー。」
「起きないと、もう一回襲うよ。」
頭の中に響いた藤木の言葉に目をパッチリと開けて藤木を部屋から追い出し、下着とジャージを装着したのは言うまでもない。
カーテンの隙間から朝日が差し込んでる。
朝ですね。
なんだかスッキリしない目覚めだし、体も気怠いのに幸福感に包まれてるっていう複雑な感じ。
階段を降りてお手洗いを済ませて居間で待つ藤木の元に。
コタツの上に並ぶ朝ごはんに絶句。
「朝から疲れさせて悪いなって思ったら栄養のありそうな物、いっぱい作ったよ。」
にっこり笑顔とともに迎えられたけど。
なぜ、お皿の上に目玉焼きとスクランブルエッグとゆで卵が?
そして、かきたま汁。
サラダとウインナーがあって良かった。
栄養のありそうな物=タマゴ
「ありがと・・・。タマゴ、好きだよね。」
「ん?タマゴよりもエリーのが好きだよ。」
ふわっと、さも当然のように言われた言葉にキュンとした。
そうか、ここまで好きそうなタマゴよりも私の方が好きなのか。
二人で手を合わせて食べた。
「まいう~。」
「だよね~、エリーもタマゴが好きみたいで良かったよ。」
ニコっと笑われた。
違う、そんなに言うほど、タマゴは好きじゃないっ。
でも、あの爽やかな笑顔が曇るかもしれないと思うと、好きでも嫌いでもないタマゴをそこまで好きじゃないって言えなくなったべ。
私の藤木への愛は食への執着を越えたべ。
藤木がタマゴを好きだって言うなら、私もタマゴを愛そうじゃないか。
ずずずっとかきたま汁を飲んで、心の底から思った。
「まいう~。」
「でしょ。このレシピはね?」
マジで美味しいと思ったよ。
だから、食べながらうんうんと藤木が見つけたかきたま汁のレシピについて頷きながら話を聞いたべ。
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