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助手席に乗って、シートベルトも締めたところに藤木の登場。
ドライブデートってやつだべ。
ハッキリ言って、こんないい彼氏は初めてだべ。
だって、新車で購入だべ?
しかも、まだ、この車、新しいべ?
藤木のお金とか財力が目当てじゃないけど・・・魅力的に見えるべ。
あぁ、浅ましい。
だけど、車を持ってた過去の男はもっとショボイ中古だったし。
それが悪いわけじゃないけど、中古と新車が並んでいたら新車の方がよく見えるに決まってるべ。
しかも、ブラ付きだし。
「エリー?難しい顔してるよ?」
あっ、こっちを覗いてる藤木の顔だ。
「あっ・・・今、どんなブラしてるのかなって。」
「もうっ、そんなことを真剣に考えてなくていいから二人の初めての遠出デートのことでも考えてなさい。本当におバカさんだね。」
「へへへっ。」
うん、藤木は案外簡単に騙せるらしい。
ゆっくりとバックで通りに出る藤木の車。
そして、カフェ ユーフラテスの前を通り抜けて、住宅街から少し大きな通りへ。
さらに国道248号線に出て豊田方面に走るようだ。
「エリーって音楽の趣味は?いつも何を聞いてるの?」
「ん?カルミナブラーナ。」
「ブハッ。本当?」
「ウソに決まってるじゃん。本当はシベリウスの交響曲第二番が好き。」
「本当?あるよ?」
「本当に?でも、今のも冗談だし。」
「冗談で言うならベートーベンの運命あたりでしょ。本当は好きなんでしょ、クラシック。」
「いやいや、本当に冗談だよ。ベートーベンは、髪型が好きだけどね。」
藤木の髪の毛、伸ばしたらベートーベンみたいだべ。
ぐふふっ。
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