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信号で停止したときに藤木がピコピコと操作をして、車の中に音楽が流れてきた。
「好きなの?」
これは、多分、ショパンだべ。
「従兄が入れてったやつ。」
へぇ・・・。
従兄さんの趣味か。
「あっ、ユーフラテスの千恵さんの子供?」
「そうそう、ユーフラテスの千恵さんの子供。」
「ショパンが好きなの?」
「ふっ、違うと思う。好きな人がいるけど、その人がクラシックの勉強をしてるみたいでね。教養のためとかってさ。あははははっ。」
どこがおかしかったべか?
全然分からない。
でも、藤木の楽しそうな笑い声。
香嵐渓へ向かう道すがら、藤木の従兄のお兄さんの話で持ちきりだったべ。
見たこともない二人だけど、不器用な二人の恋物語。
あぁ、見たい見たい。
お友達になりたいだべ。
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