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身悶えするような全く進展のない恋愛話を藤木からたんまり仕入れて、一人でむずむずしていたら、車はどんどんと山の方に。
当たり前だけど、木がたくさん生えてるし、色づいてるべ。
「あー、こっちの方にもう、駐車場の看板出してるね。近いところはないのかなぁ。取りあえず、目的地まで行くね。」
駐車場の看板を出してるのは、どこからどう見ても民家の住民。
そして、駐車場はどこからどう見ても民家の余った敷地。
香嵐渓の近くの駐車場が満車だとここに停めて歩いて香嵐渓まで行くってことだよね。
そして民家のおじさんやお兄ちゃんは一日ここで駐車場の管理をしてお小遣いを稼いでいるってことなんだよね。
藤木の車は民家のおじさんやお兄さんの出してる看板を無視して香嵐渓の方まで進んでいく。
立体駐車場もあるんじゃん。
近くに。
そして、役場の駐車場も解放してるんだ。
お金を取って・・・。
だよね、タダで停めさせてもらえるわけないよね。
シーズン中なんだし。
「あっちは満車っぽいから、そこの立駐にしようかな。」
ウインカーを出して、誘導してるおじさんの指示に従って立駐内に進む車。
けっこう早い時間だと思うのに、この車の量。
すでに立駐内の8割くらいが車で埋まってるべ。
「立駐に停められてラッキーだったね。」
車を停めて藤木がふわっと言葉を発した。
この人の声は、柔らかで癒し系だべ。
それに、ブラの存在が一段と癒し系だべ。
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