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「かくかくしかじかと言うわけで、誠二さんのお相手の名前が雫さんだったら美味しいなと思ったケロ。」
「あははっ。何を真剣な顔して考えてるのかと思ったら、エリーってば。それ、アニメでしょう。」
笑う藤木と笑われる私。
「いやいや、でも、中学生が夜明けの街を自転車でドライブして、高台でプロポーズはムラムラきたんだってば。あの映画を見たときに。」
「あぁ、そうなんだ。分かる気がするけどね?で、エリーの希望のプロポーズは?」
ん?
希望のプロポーズ?
そんなの考えたこともないべっ。
「インパクトのあるのがいいね。僕は死にましぇーーーーーんみたいな感じでさ。」
「ぶはっ、それは真似できないね。」
歩いていたら、一般に香嵐渓と呼ばれている川と橋のところまで来たようだ。
細い道沿いに橋へ向かう人がたくさん。
「あっ、分かった気がする。」
藤木の声に人がいっぱいだなぁと思っていた顔を藤木の方に向けた。
「何が?」
「映画と僕は死にましぇーーーーんの共通点。どっちも、外だよね。」
あぁ、まだその話をしていたんだ。
そっか、どっちも外か。
なるほどね。
私は外でプロポーズしてるのにムラムラくるのか。
細い道を人の波にのってゆっくりゆっくりと進み、これぞ香嵐渓の風景と言える橋まで到着。
川沿いに植わった木が紅葉していて目にも鮮やか。
黄色から赤色。
人が凄くなければ、素敵なんだけど・・・観光地だから仕方がないな。
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